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[ コラム ] 4月-2-2011

 前回、カカオ豆の加工作業における第一段階として発酵によるパルプの除去が行われ、風味を左右するという話をした。この機会にチョコレートの製造過程について整理をしておこう。

 次のステップは乾燥である。水分を6〜8%に減らす。輸送中のカビの発生を防ぎ、4〜5年間カカオ豆を腐らせずに保管することができるようになる。この乾燥のやり方によっても風味は左右されるという。時間をかけて、ゆっくりと丁寧に乾かすことが重要だが、現実は急いで乾燥させているところも多いようだ。

 乾燥後、約60キログラム毎に麻袋に入れられて工場へ出荷され、焙煎の工程に移る。豆の種類や作られるチョコレートの種類によって焙煎時の温度と時間と湿度を変え、ブレンドが必要な場合は焙煎後に混ぜ合わされる。

 次に皮をむかれてカカオニブと呼ばれるようになり、機械で挽かれてピーナッツバターのような柔らかいペースト状のカカオマスになる。このカカオマスに圧力をかけるとカカオバターが抽出される。そして、カカオマスにカカオバターを加えることによって、ファインチョコレートが生まれるという仕組みだ。(安価なチョコレートではカカオバターの代わりに、カカオマスを抽出した残りのカカオケーキを粉砕した粉であるカカオパウダーと植物性油脂を混ぜたものを使用することが多い)

 ファインチョコレートは、砂糖、牛乳、バニラ、レシチンなどの乳化剤等が加えられ、きめ細かななめらかなペーストへといくつものローラーを通って精錬されていく。この精錬作業をコンチングといい、食感を改善して酸味を気化させる目的もある。もちろん、ここでもスピードや時間、温度が風味に影響を与える。

 そしてテンパリングと呼ぶ調温と成型に移ります。精錬後の温度は60〜75度。これを適温まで下げて安定したカカオバターの結晶をつくるのが目的である。カカオバターは溶ける温度によって異なる6種類の結晶が存在するというが、安定した状態にすることで均一な絹のようなつやが生まれ、なめらかになるという。

 時間と温度によって風味が決まる。おいしいものが生まれる法則は、どの世界も変わらないようだ。