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[ コラム ] 9月-12-2008

 リキュールの起源は、紀元前。古代ギリシャの医聖ヒポクラテス(Hippokrates, B.C.460〜B.C.375頃)が作ったといわれている。ワインに薬草を溶かし込んで、一種の水薬をつくったということらしい。
 しかし、以前このコラムの「日欧米のリキュール定義」で書いたように、欧米では醸造酒ベースの混成酒は醸造酒の一種と見なすのが一般的である。つまり、ビールをベースにしたらビールの一種、ワインをベースにしたらワインの一種と考え、リキュールはスピリッツをベースにしたものと考えられている。では、スピリッツをベースにした混成酒を創造したのは誰だか、ご存じだろうか。

 現在のリキュールの起源は、ブランデーの祖でもあるスペイン生まれの医者兼錬金術師のアルノー・ド・ヴィルヌーヴ(Arnaud de Villeneuve, 1235〜1312年頃)と、ラモン・ルル(Ramon Lull, 1236〜1316年頃)の二人だとされている。スピリッツにレモン、ローズ、オレンジの花、スパイスなどの成分を抽出して作ったらしい。

 蒸留酒づくりは、中世に錬金術師たちが生み出した技法である。ラテン語でアクア・ビテ(Aqua vitae, 生命の水)と呼んで、生命維持のための薬酒として蒸留酒は用いられていた。そして、さらに生命維持効果のある霊酒を作りだそうとして、蒸留の際に各種薬草や香草類を加える工夫を行った。植物の有効成分が溶け込んでいるので、こちらのほうはラテン語でリケファケレ(Liquefacere, 溶け込ませる)と呼んだ。

 このリケファケレがリキュール(Liqueur)という名称の語源になっている。リキュールは中世の錬金術師たちが生み出した蒸留酒のバリエーションとして生まれたのだ。