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[ コラム ] 4月-25-2008

 カクテルを『酒+Something』と考えると、その歴史は古代ローマ帝国の時代まで遡ることになるという。一方、カクテルを『氷を使って、器具を利用しながら作るMixed drink』と考えるなら、19世紀後半の人工製氷機の登場からということになるらしい。

 カクテルの起源について一家言あっても、現代のカクテルにおいて「氷」の存在を無視できる方はいないだろう。

 そのカクテルに不可欠な氷なのだが、人工の氷がどうやって生まれたのかご存知の方は少ないようだ。1870年代初頭、アンモニア高圧冷却機の研究で業績を挙げたミュンヘン工業大学のカール・フォン・リンデ(Carl von Linde,1842−1934年)教授が、1879年にリンデ製氷機製作会社の社長となって人工製氷機が生まれたそうだ。

 この人工製氷機の登場で、四季を通じて氷を使用することが可能になったわけで、それまでは川や湖の近くに住んでいた人が冬に結氷したものを使ったり、一部の超富裕階級の人たちが結氷した氷を氷室に保存したりして使っていたのだから、一大事件といえるだろう。

 これ以降に、カクテルをシェークしたり、ステアしてつくる技術が登場し、お馴染みのキリリと冷えたサイドカーやマンハッタンが作られるようになった。リンデ教授とその功績、カクテル好きなら忘れるわけにはいかない。