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[ コラム ] 10月-3-2008

 リキュールの製造工程は大きく分けて、1)香味抽出(aromatizing)、2)香味液配合(dosing)、3)ブレンド(blending)、4)熟成(aging)、5)仕上げ(clarifying & filteration)になる。今回はその内容を整理してみる。

1)香味抽出(aromatizing)

蒸留法(distillation)
原料をベースになるスピリッツとともに単式蒸留機に入れて蒸留し、アルコール分と一緒に植物の揮発性成分を抽出させる方法。薬草の種子類は、成分に精油分(エッセンシャル・オイル:essential oil)を多く含むので、この蒸留法を採用する。また、柑橘系(アニス、オレンジ、マンダリンなど)の乾燥果皮も精油分を利用するので、この蒸留法で成分を抽出する。
またスピリッツではなく水と一緒に蒸留する場合もあり、ミントは水蒸留の場合が多い。

浸漬法(maceration,infusion)
冷浸漬法(maceration)と温浸漬法(infusion)の2通りがある。
冷浸漬法(maceration)はベースになるスピリッツに原料を浸漬し、その成分と香味を浸出させる方法。その期間は原料によって数日から数か月に亘る。温浸漬法(infusion)はハーブ類に使われることが多い方法。あらかじめ原料を温水に漬け込み、熱によって溶け出る成分を抽出し、温度が下がったところにスピリッツを加え、さらに浸漬を続けて成分を抽出する方法である。
ベリー系の果実を原料にする場合には、果肉のデリケートでフルーティな香味が熱によって破壊されないように冷浸漬法を採用する。また、コーヒー、カカオ、バニラも一部この冷浸漬を採用することがある。

パーコレーション法(percolation)
ろ過浸出法というか、コーヒーのパーコレーターと同じような抽出法。アルコールを循環させて、原料から成分を抽出する。浸漬法が静止の状態で成分を抽出するのに対して、パーコレーション法はある速度で液体を流しながら抽出するので、原料からの成分回収量が多い。焙煎コーヒー、カカオなどから色、香り、味を引き出すときに用いられる。

エッセンス法(essence)
天然、あるいは合成の香料精油をアルコールに溶かし込み、香味液をつくる方法。

2)香味液配合(dosing)

 香味抽出で得た香味液を各リキュールの個性を決めるために調合する工程。精密な技術と最新の感覚を持つ各メーカーのスペシャリストの仕事になる。その処方は門外不出のノウハウになる。

3)ブレンド(blending)

 調合した香味液に、ベースとなるスピリッツ、糖類、色素、水などを加えて、リキュールに仕上げていく。

4)熟成(aging)

 ブレンド後の熟成は短くて1カ月、一般的には数か月の場合が多いが中には3年ぐらい熟成させるものもある。熟成のための容器はホワイト・オークの大樽(ヴァット:vat)の場合もあれば、グラスライニングを施したタンクの場合もある。これはリキュールによって異なる。この熟成期間中に香味がまとまって安定化し、同時にオリの沈降が進んでろ過しやすくなる。

5)仕上げ(clarifying & filteration)

 熟成を終えたリキュールはフィルターを通して清澄化し、瓶詰めを行って製品として出荷される。アニゼット、キュンメルなどのリキュールは、フィルターをかける前に冷却処理し、瓶詰め後の濁りのもとになるオイル成分をあらかじめ除去する。