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[ コラム ] 2009年03月27日

 ロシアのウォッカと双璧をなすのがポーランド・ウォッカである。それ以外にも代表的なものとしてフィンランド、アメリカ、カナダなどのウォッカがある。今回はポーランドとそれらのウォッカについて紹介していく。

 ポーランドでは、VODKAではなくWODKA(Oの上には’が入る)と書く。発音もウォッカではなくヴォトカという。17世紀には輸出が始まったという同国を代表するスピリッツである。代表的なポーランド・ウォッカの銘柄としては、最高級という意味でもある「ビボロア(Wyborowa)」が有名だ。ポーランドは世界第2位のライ麦生産国であり、原料には選りすぐったライ麦が使用されており、ほのかなライ麦風味が特徴になっている。他にも「ジトニア(Zytnia)」などの銘柄も人気がある。

 森と湖、そして白夜の国として有名なフィンランドのウォッカでは、「フィランディア(Finlandia)」が代表的だ。主原料は六条大麦で、スムーズでライトな中に残るグレーン由来の味が特徴になっている。

 北米のウォッカは主原料としてトウモロコシが使われており、アルコール度数95%以上のグレーン・スピリッツでつくられている。比較的強く活性炭処理がされており、ドライなタイプの仕上がりである。原料由来のフレーバーはほとんどなく、クリーンでニュートラルというのが特徴になっている。
 アメリカの代表的銘柄として、「スミノフ(Smirnoff)」「ポポフ(Popov)」「カムチャッカ(Kamchatka)などがある。
 カナダの代表的銘柄としては、クリスタル・クリアと呼ばれる高級ウォッカ「サイレント・サム(Silent Sam)」が有名だ。



[ コラム ] 2009年03月19日

 現在のロシア・ウォッカは多彩である。澄み切ってニュートラルなものから、やや甘くてまろやかなもの、香草で香りづけしたもの、リキュール・タイプのものなど幅が広い。

 輸出代表銘柄としては、ストリチナヤ(「首都の」の意味:アルコール度数40度)、ストロワヤ(「食卓の」の意味:アルコール度数50度)、ルスカヤ(「ロシアの」の意味:アルコール度数35度と40度)、モスコフスカヤ(「モスコーの」の意味:アルコール度数40度)、クレプカヤ(「強い」の意味:アルコール度数56度)などがある。

 無色透明なレギュラー・タイプ以外のウォッカは、フレーバード・ウォッカと総称される。リモナヤ(レモン果皮と糖分を配したもの)、スタルカ(「オールド」の意味:ナシやリンゴの新芽、ブランデーを配し、樽熟成したもの)、ズブロッカ(ズブロッカ草という香りの強い萱草のエキスを配合したもの)などが代表的だ。

 また、ペルツォフカ(赤唐辛子とパプリカを配したもの)というウクライナ共産国産のフレーバード・ウォッカなどが有名である。



[ コラム ] 2009年03月13日

 ウォッカの主原料は穀物で、トウモロコシや大麦、小麦、ライ麦など使われるが、北欧やロシアなど一部の寒冷地ではじゃがいもが使われている。これらの原料を糖化、発酵させ、連続式蒸留機でアルコール分85〜96度のグレーン・スピリッツを作り、水で割ってアルコール分40〜60度に調製した後、白樺の炭層でろ過して製品化されている。現在ではアルコール度数40度のものが主流だ。

 ウォッカの特徴の決め手は二つに集約される。ひとつは、ベースになるスピリッツをどのようにしてつくるか。ふたつめは白樺炭ろ過をどのように行うか。

 ベースになるスピリッツは、85〜96度という高いアルコール純度のため、原料による違いは製品の品質にあまり大きな影響を与えないという見方もある。そのため、アメリカでは穀物でない原料の使用も多い。

 白樺炭ろ過は、スピリッツの刺激成分を除去して軽やかな芳香を生成する作用である。また、炭からの味わい成分(アルカリイオン)が溶け出し、アルコールと水との結合を促進してまろやかさを加えるという役割も果たしているそうだ。

 前述のアメリカでは穀物以外でも、とにかくニュートラル・スピリッツ(90度以上で蒸留したスピリッツ)に活性炭処理などをして、性格、香り、味、色をなくしたものもウォッカとして扱われている。ちなみにEUでは「農産物から得たエチル・アルコールを活性炭ろ過して、官能刺激特性(organoleptic characteristics)を取り除いたもの」という規制がある。