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[ コラム ] 2008年12月19日

 リキュールで使われる子実を紹介する後編である。今回を含めて5回にわたってリキュールに使う主なハーブ・スパイス類を紹介してきた。全部で43種類である。あれが抜けている、といった意見もあるだろう。ぜひ、そんな情報を提供してもらえば嬉しい限りだ。

★クミン
和名:クミン(漢名:馬芹 ばきん)
英語名:cumin、cummin
フランス語名:cumin
セリ科の一年草。エジプト原産。チリパウダーの素材に使われ、強い香りとホロ苦さを持っている。キャラウェイに似た香味を持っているためローマン・キャラウェイの別名がある。

★ディル
和名:イノンド(漢名:蒔羅子 じらし)
英語名:dill
フランス語名:aneth
セリ科の一年草。インド原産。葉と種子を用いるが、葉はすっきりした芳香を持ち、種子はやや刺激的な芳香と辛味を持っている。どちらもキャラウェイの香りに似ている。ちなみに聖書に出てくるアニスは、このディルのことではないかという説もある。

★フェンネル
和名:ウイキョウ(漢名:草冠に回+香 ういきょう)
英語名:fennel
フランス語名:fenouil
セリ科の多年草。南ヨーロッパの地中海沿岸原産。植物学上は果実である種子と呼ばれる部分を利用する。アニスによく似た甘い香りを持つが、キャラメル香も溶け込んでいる。リキュールの着香料としても利用されている。

★ジュニパー・ベリー
和名:トショウジツ(漢名:杜松実 としょうじつ)
英語名:juniperberry
フランス語名:genievre
ヒノキ科。アルプス地方南部原産。松ヤニに似た香りを持つ。ジンの香料として有名だが、ベルモットやリキュールにも使われ、煮込み料理のスパイスとしても利用される。

★ナツメグ
和名:ナツメグ(漢名:肉豆+莞の中に文(冠の寸が文のイメージ) にくずく)
英語名:nutmeg
フランス語名:muscade
ニクズク科の常緑高木。インドネシアのモルッカ諸島原産。種子の中の仁がナツメグで、それを取り巻く仮種子がメース(mace)。トロピカル調の甘い刺激香がどちらにも含まれている。ナツメグのほうが香りは強い。

★コショウ
和名:コショウ(漢名:胡椒 こしょう)
英語名:pepper
フランス語名:poivre
コショウ科の常緑灌木。南インド原産。爽快な香りと心地よい辛味を持つ。外皮のついたままのものがブラック・ペッパーで、外皮を除いたものがホワイト・ペッパー。ブラックの方が芳香性が強い。グリーン・ペッパーは未熟果を乾燥したもの。

★スターアニス
和名:ダイウイキョウ(漢名:大+草冠に回+香 だいういきょう、八角+草冠に回+香 はっかくういきょう)
英語名:star anise
フランス語名:anis etoile、badiane
モクレン科の常緑樹。中国西南部の広西省原産。アニス、フェンネルにも共通するアネトールという甘い芳香成分を含むが、スターアニスがもっとも強い。よくアニス、フェンネルの代替品として用いられる。八角の突起を持つことから「八角」の名がある。

★バニラ
和名:バニラ
英語名:vanilla
フランス語名:vanille
ラン科。中央アメリカ原産。マダガスカル、メキシコ、プエルト・リコが主な栽培地。バニリンという成分による甘美な芳香を持つ。つる性多年草のサヤ形の果実を未熟のうちに摘み、発酵、熟成させるとバニリンが生まれる。

注)フランス語特有の文字は一部省略して表記しています。



[ コラム ] 2008年12月12日

 「花」と「樹皮」に比べたらリキュールで使われる子実の種類は多い。代表的なものだけでもざっと16種類。数が多いので2回に分けて8つずつ掲載していくことにする。

★アニス
和名:アニス(漢名:渇泥子 あにす)
英語名:anise
フランス語名:anis vert
セリ科の一年草。地中海東部やエジプトが原産地。利用部位は一般的に種子として見なされているアニスシードと呼ばれる部分。植物学上は果実である。アニトールという甘い芳香成分を含んでいる。

★カカオ
和名:カカオ
英語名:cacao
フランス語名:cacao
アオギリ科の常緑樹。熱帯アメリカ原産。実をココアやチョコレートの原料にする。

★キャラウェイ
和名:ヒメウイキョウ(漢名:姫+草冠に回+香 ひめういきょう)
英語名:caraway
フランス語名:carvi
セリ科の二年草。西アジア原産。植物学上は果実である種子と呼ばれる部分に、甘い爽やかな香りと僅かなホロ苦さがある。キュンメルやアクアヴィットの香りづけに使われている。また、ライ麦パンやアップル・パイにも利用されている。

★カーダモン
和名:ショウズク(漢名:小豆+莞の中に文(冠の寸が文のイメージ) しょうずく)
英語名:cardamon、cardamum
フランス語名:cardamone
ショウガ科の多年草。スリランカ、インド南部原産。実は樟脳に似た鋭い芳香と特徴のある辛味を持っている。カレー料理に欠かせない材料。

★コーヒー
和名:コーヒー(漢名:珈琲)
英語名:coffee
フランス語名:cafe
アカネ科の常緑高木。実の中に種子(コーヒー豆)を2粒含み、それを焙煎してコーヒー・フレーバーを抽出する。

★コーラ
和名:コーラ
英語名:cola、kola
フランス語名:cola、kola
アオギリ科。熱帯アフリカ原産。実にカフェインとテオブロミン(血管を拡張させ、血流が良くなる効果がある。カフェインとは逆で精神を落ち着ける作用があり、脳に直接働きかけて、穏やかに刺激することで精神状態が安定すると考えられている)が含まれている。

★コリアンダー
和名:コリアンダー(漢名:胡+草冠に妥+子 こすいし)
英語名:coriander
フランス語名:coriandre
セリ科の一年草。南ヨーロッパの地中海沿岸原産。植物学上は果実である種子と呼ばれている部分を利用する。レモン果皮とセージを合わせたような爽やかで甘い芳香をもち、キャンディやクッキーなどの香料として重宝されている。

★キュベブ
和名:ヒッチョウカ
英語名:cubeb
フランス語名:cubebe
コショウ科の常緑低木。ジャワ原産。実は「ジャワ胡椒」と呼ばれて調味料として使われている。

注)フランス語特有の文字は一部省略して表記しています。



[ コラム ] 2008年12月05日

 リキュールで使われる「花」、「樹皮」。代表的なものといえば、どちらも数は少なくなる。まあ、その分だけ覚えやすいというわけである。たくさんある植物の中から選ばれし品目というわけだが、それにしても古の人達の選択眼には感服させられる。

【花】

★カモミール
和名:カミツレ
英語名:camomile、chamomile
フランス語名:camomille
キク科の一年草。ローマン種は多年草。ヨーロッパ原産。リンゴに似た芳香をもつ花の部分を利用する。

★クローヴ
和名:チョウジ(漢名:丁子 ちょうじ、丁香 ちょうこう)
英語名:clove
フランス語名:girofle
フトモモ科の常緑喬木。インドネシアのモルッカ諸島原産。つぼみを乾燥して用いる。バニラに近い刺激的で甘い香りを持つ。洋菓子や料理のスパイスとして広く利用されているが、リキュールの香りづけにも使われている。

★エルダー
和名:セイヨウニワトコ
英語名:elder
フランス語名:sureau
スイカズラ科。白い花にアニスを連想させる匂いがある。果実は黒紫色をしている。学名をサンブークス・ニグラ(sambucus nigra)といい、この香味を活かしたリキュールがサンブーカである。

★サフラン
和名:サフラン(漢名:蕃紅花 ばんこうか)
英語名:saffron
フランス語名:safran
アヤメ科の多年草。南ヨーロッパ地中海沿岸地方原産。花の雌しべを1本1本、手摘みで採集し、乾燥させてスパイスに用いる。香味よりも黄金色の着色性の方が重視される傾向にある。きわめて高価なスパイス。

【樹皮】

★アンゴスチュラ
和名:アンゴスツラヒ
英語名:angostura
フランス語名:angosture
マツカゼゾウ科。南米原産。その樹皮から抽出した成分は昔から解熱剤として利用されてきた。苦味が強いので、現在はビター系リキュールの苦味剤としても用いられている。

★シナモン
和名:ニッケイヒ(漢名:肉桂 にっけい、桂皮 けいひ)
英語名:cinnamon
フランス語名:cannelle
異称のニッキで知られるクスノキ科の常緑灌木。スリランカ、南インド原産。今日ではセイロン肉桂をシナモンと称し、中国肉桂をカシア(cassia、quassia)と称している。カシアのほうが香味が強く、渋味もある。調味料としてはシナモンのほうが評価が高い。

★キナ
和名:キナヒ(漢名:規那皮 きなひ)
英語名:cinchona
フランス語名:quinquina
アカネ科。そのシンコナ属の樹皮から抽出するシンコニジンはマラリアの治療や解熱剤として薬効があるとされてきた。現在は樹皮成分からキニーネ剤をつくり、苦味、健胃、強壮剤として利用されている。

★ササフラス
和名:サッサフラス(漢名:黄樟 おうしょう)
英語名:sassafras
フランス語名:sassafras
クスノキ科の落葉樹。北米東部に自生する。樹皮や根から採る揮発性のオイルは薬用および香料として使われている。

注)フランス語特有の文字は一部省略して表記しています。