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[ コラム ] 2008年06月02日

 カクテルの種類。有名無名のオリジナルを合わせれば星の数ほど存在する。皆さんは、どれだけご存知だろうか。主だった有名どころを紹介するにしても、さてどう紹介したものか。ベース別などは、いろんなサイトで見受けられるので珍しくもない。
 そこで他ではなかなか見受けられない歴史年表で紹介することにした。いつの年代に、何がどこで生まれたのか。「ラルース 新カクテル事典」を参照にしたが、まさに諸説あり。喧々諤々(けんけんがくがく)になるだろうが、それもまた良し。酒のつまみとして楽しく語ろうではないか。

1800年以前

★パンチ類
17世紀の終わりに英国領アンティル諸島で創作された模様。

★フィッシュ・ハウス・パンチ
1732年にフィラデルフィアのフィッシュ・ハウスで創作。

★グロッグ
1740年に英国海軍に登場。

★サワー類
18世紀半ばに英国に登場。

★トディ類
1760年に英国領アンティル諸島に登場。

★エッグノッグ類
★ジュレップ類
1800年の少し前にアメリカに登場。

★スリング類
1800年の少し前にアメリカで広まる。

1800〜1810年

★コブラー類
1800年頃にアメリカに登場。

★フリップ類
1800年頃に英国で広まる。

★ミント・ジュレップ
1800年頃にアメリカ、特にノース・ヴァージニア州のプランテーションで広まる。

1820〜1830年

★サンガリー類
元々英国領アンティル諸島で誕生。1820年頃にアメリカに紹介。

1840〜1850年

★クラスタ類
1840年代初めにニューオリンズの市立取引所でジョゼフ・サンティーニによって創作。

★プース・カフェ類
1840年代初めにニューオリンズで広まる。

★トム&ジェリー
1847年にカリフォルニア州でジェリー・トーマスが創作。

★ピンク・ジン
1848年以来英国海軍の将校が愛飲する。

★サンティーナズ・プース・カフェ
ジョゼフ・サンティーナが創作。

1850〜1860年

★ブルー・ブレーザー
1850年代初めにサンフランシスコのオキシデンタルホテルにおいてジェリー・トーマスが創作。

★フィックス類
★スマッシュ類
アメリカで人気を得る。

★ジャパニーズ
アメリカでジェリー・トーマスが創作。

★ピムズ・カップ
ジェームズ・ピムが創作。ロンドンで人気が出る。

1860〜1870年

◎ハウ・トー・ミックス・ドリンク
カクテルについての最初の本。ジェリー・トーマスが書き、1862年にニューヨークで出版。

★コーディアル・ライム・ジュース
甘みのついたライム・ジュース製品で、1865年にエディンバラのラクラン・ローズが創作。

★コリンズ類
アメリカに初めて登場。

1870〜1880年

★セザラック
1870年代初めにニューオリンズのセザラック・ハウスにおいてトーマス・H・ハンディが完成。

★デイジー類
★フィズ類
アメリカに初めて登場。

1880〜1890年

★マルチネス
1880年代初めにアメリカでジェリー・トーマスが創作。

★マンハッタン
1884年にアメリカで創作。作者不明

★イースト・インディア
1888年にアメリカでハリー・ジョンスンが創作。

★スピリッツァー
1888年にアメリカで創作。元はライン・ワインとセルツァ水で作られた。

★ビジュー
1880年代末にアメリカでハリー・ジョンスンが創作。

★ターフ
1888年から1895年の間にアメリカでハリー・ジョンスンが創作。

★ブラック・ベルヴェット
アメリカで広まる。元々はアメリカでシャンパン・ベルヴェットと呼ばれた。

★ホーセズ・ネック
アメリカに登場

★ラモス・ジン・フィズ
ニューオリンズのキャビネット・サルーンのヘンリー・C・ラモスが創作。

1890〜1900年

★スティンガー
1890年代にアメリカに登場。元はジャッジ・カクテルと呼ばれる。

★ハイボール類
1890年から1895年の間にアメリカのある大きなレセプションでブラッドリー・マーティンが創作。

★レムゼン・クーラー
1895年より以前に、海軍士官のウィリアム・レムゼンがニューヨークのユニオン・クラブで創作。

★ダイキリ
1898年、キューバのサンティアゴのヴィーナス・ホテルで鉱山技師の仲間が創作。

★ブルズ・アイ
アメリカで広まる。

★シャンパン・ジュレップ
ニューヨークでウィリアム・シュミットが創作。

★パフ類
アメリカに初めて登場。



[ 千葉県支部 ] 2008年05月22日

福島エグゼクティブ・スペシャリストを招いてのセミナー

日時:平成20年5月22日 14時〜15時30分
会場:バー・バグース
参加人数:18名

・福島氏のバーテンダー人生を語っていただく。
・「マティーニ」「ボビー・バーンズ」の実技・考え・こだわりを伺う
・質疑応答

千葉県支部セミナー

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[ コラム ] 2008年05月20日

 グラスの中身と言ってもドリンクではなく、グラスそのものの話である。な〜んだ…なんて思った方、グラスはカクテルを引き立てる名脇役のひとつ。デザインだけでなく、材質にもこだわりを持っていなくてはならない。

 さて、無色透明なグラスは材質面から大きく3つに分類できるが、それぞれご存知だろうか。

 まずは10〜13世紀に登場した、ソーダ・ライム・グラス(ソーダ石灰グラス)
 珪砂、酸化ナトリウム(ソーダ灰)、酸化カルシウム(石灰石)でつくられる。誕生は歴史的に古いが、現在でもほとんどがこのタイプである。特徴としては、酸化するとグラスに青みがつく。当然、そうしたグラスに酒を注いだら本来の色は再現されない。

 次は17世紀に登場した、ボヘミアン・クリスタル・グラス
 名前の由来になっているチェコの西部・中央部にあるボヘミア地方で生まれた。珪砂、酸化カルシウム(石灰石)、酸化カリウムでつくられる。化学的な耐久性がソーダ・ライム・グラスよりもある。その分だけ色の変化も少ない。

 そして1673年に発明された、クリスタル・グラス(鉛クリスタル・グラス)
 イギリスで酸化鉛を加えて美しい輝くを放つ鉛クリスタル・グラスが発明されたのが、1673年である。最高純度の原料を使うため透明感が強く、酸化鉛(鉛丹:えんたん)を含むので重量感がある。酸化鉛を主成分に珪砂、カリが加わって生まれてくるグラスは大きな屈折率が特徴。つまりカットしたときの輝くが素晴らしくなるのである。ちなみに指ではじいたりすると澄んだ金属音がするが、耐熱性があるとか強度があるわけではない。
 クリスタル・グラスと呼ぶには基準がある。国際的には酸化鉛の含有率が24%以上のものをクリスタル・グラスと呼び、日本のメーカーもこの基準に沿ってつくっている。
 国産のクリスタル・グラスで、セミ・クリスタル・グラスと呼んでいるものをあるが、こちらは酸化鉛の含有率が8〜12%ぐらいのものになっている。




 余談になるが、鉛クリスタル・グラスの登場によってステム(脚)を細く優美にした食卓用のグラスも広まり始めた。さらに20世紀になるとアメリカでグラス工業が発達してサンドイッチ・グラスと呼ばれるプレス・グラスが発明された。これを境に、ローマン・グラス時代以来の吹きガラス技術と共存時代を迎えることになった。

 美しい輝きと洗練されたデザイン。グラスは見せるディスプレイのひとつでもある。一般のご家庭で口を伏せて収納してあるのをたまに目にするが、ぜひ、口を上にして置いてもらいたいものだ。