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[ コラム ] 2010年05月21日

 テイスティングをする近道は、すでに評価のあるブランドを試すことが一番。そこで、基本的なタイプの分類とおすすめのチョコレートを挙げてみたい。

1.チョコレートが好きではない場合

【おすすめ】「グラン・クヴァ」(ヴァローナ)、「マダガスカル」(プラリュ)、「ロス・アンコネス」(ミッシェル・クルイゼル)「ポルチェラーナ」(アメデイ)、「チュアオ」(ドモーリ)
【ポイント】口の中に含まれるアロマの複雑さ、時間と経た時の変化に注目。1回目より2回目、ちょっとずつ楽しみが得られるようになる。

2.クリーミーなミルクチョコレートが好みの場合

【おすすめ】「ジヴァラ」(ヴァローナ)、「ミルクチョコレート」(リンツ)、「トスカーノブラウン」(アメデイ)
【ポイント】甘味の強さと時間の経過に伴う味の変化に注目。たとえば、キャラメルやミルクパウダー、ナッツやファッジといった風味を感じたか。

3.ファインな味が分かるが同じものばかりを味わっている場合

【おすすめ】「70%カカオ ダークチョコレート」(グリーン&ブラック社)、「リンツ・エクセレンス・70%」(リンツ)、「ポルチェラーナ」(アメデイ)、「パルミラ」(ヴァローナ)などと、一般的に手に入るダークチョコレートを同時に比べる
【ポイント】バニラや砂糖の風味がするものはどれか。アロマティックな味と風味を感じるか、それとも砂糖が主張しているか。口の中でエレガンスとハーモニーを感じる物はどれか。酸味や苦味があるか。

4.ミルクチョコレート以外、様々なダークチョコレートを味わっている場合

【おすすめ】品質より価格重視と思われるダークチョコレートと、品質重視のミルクチョコレートの比較として、一般的なロッテ社のダークチョコレートと「メリッサ」(プラリュ)、「ジヴァラ」(ヴァローナ)の比較。
【ポイント】ゆっくり時間をかけて味わい(楽しみ)ながら、含まれるミルクパウダーの質を比べてみる。

5.ボンボンショコラがお気に入りの場合

【おすすめ】最高品質のクリームと最上質のチョコレートを使い、香料を加えていないトリュフを試す。また上質のチョコレートバーをいくつか試してみる。「ジヴァラ」(ヴァローナ)、「ミルク」(アメデイ)、「ミルク37%」(ヴェイス)
【ポイント】砂糖と香料による風味を美味しいと感じるか。

 少なくとも2種類、あるいは3種類を同時にテイスティングすることが大切である。比較しながら味わうことで気付くことは多い。バーテンダーにとっては釈迦に説法かもしれないが。



[ コラム ] 2010年05月14日

 チョコレートに関するコラムも最後の話題になってきた。テイスティングに関して、何回かに分けて掲載していきたい。

 今回は、テイスティングのチェックリストである。まずは四角く切り分けたチョコレートで、次の練習をおすすめする。

1.「見る」 色・つや・テキスチャー。特に色は美しいのか、あせているのかのチェック。
2.「触る」 割った表面がなめらかなのか、粗くブツブツしているのか。手に吸いつくような感触はあるか。
3.「聞く」 2つに割ると、どんな音がするか。
4.「嗅ぐ」 どんな香りがするか。(前回のコラムを参照)
5.「味わう」 口の中でどのように感じたか。舌に与える影響に注意して、テキスチャーのみを分析する。

 さらに、テイスティングを進めたいなら

1.小さなかけらを口に入れて少しかむ。かむのをやめて、そのまま舌の上で溶けるのを待つ。
2.時間が経つにつれ、風味や舌の感触が変化しているかどうか、集中して感じる。
3.風味をチェックする。
 a 風味が感じられるか。
 b 時間が経つにつれて風味が変化しているか。
 c それぞれの風味がお互いに作用しているか。あるいは別々のタイミングで感じられたか。
   ある風味が他の風味より際立っているか。それともすべて組み合わさっているか。
 d それぞれの風味の強さをランク付けする。
4.苦味、酸味、渋味を感じるか。それは適度か。それとも不快か。
5.良質なチョコレートの風味は3段階に分けることができる。
 a 最初の数秒間、何を感じるか。
 b チョコレートがゆっくり溶けていく時に、何を感じるか。
 c 最後に飲みこんだ時に、何を後味として感じるか。
6.最後にランク付けを行う。10点満点中、何点をつけることができるか。

 味覚は人それぞれ。何が正しくて何が間違っているということではない。気難しく考えないで、気軽に楽しくチャレンジしてみたいものだ。それにしてもこうやって書いていると、カクテルを創作するときにも使えるのではないか、と思われるくらいである。



[ コラム ] 2010年05月07日

 新しいチョコレートを味わうときは、指の爪くらいの小さなかけらで試すらしい。舌の上にのせ、数秒間かんで、もっと小さく砕く。

 そして噛むのをやめて、チョコレートが溶けてフレーバーが開くのを待つ。チョコレートが口中に広がるのを確認できれば、口の中全体で最大限に味を感じることができるという。甘味、酸味、苦味、塩味の違い、そして芳香(アロマ)と風味(フレーバー)を感じとるわけだが、渋味は低品質のチョコレート特有のものなので気をつけたい。

 ポイントは、なんといっても香りだ。ワイン・テイスティングと同じようにチョコレートを表現する言葉として、以下のような表現があるようだ。

【野菜】干し草、木、きのこ、こけ、青々した草
【花】ジャスミン、バラ、オレンジの花
【フルーティ】赤いベリー(イチゴ、ラズベリー、赤スグリ等)、トロピカル・フルーツ、ジャム、レーズン、プルーン、ドライ・バナナ
【焼いた香り】ロースト・アーモンド、焦がし砂糖、キャラメル、コーヒー、ココア、茶、タバコ
【ナッツの香り】ナッツ類すべて
【スパイシー】リコリス、ヴァニラ
【その他】皮、蜜蝋、蜂蜜、パンやトースト、クリームやミルク、バター

 ということだが、何か基準がないことには表現しようがない。次のブランドのテイスティングがおすすめのようだ。

■「ヴァローナ」の「マンジェリ」のテイスティング
最初の酸味がおさまると、はっきりとした赤い果実、ラズベリーやさくらんぼ、黒すぐりのようなはっきりとした酸味を持つ果実を思わせる香りが感じられる。少なくともフルーティだと最初に感じたら優秀ということだ。

少し慣れて、細かく表現できるようになってきたら、

■「プラリュ」の「ジャバ」のテイスティング
最初は、野菜のような香りと感じていたのが、木、さらに雨にぬれた森、と表現できる。

 なかなか難しいが、自分が感じた香りをお客様に表現できるようになればしめたもの。チョコレートだけではなく、モルトやカクテルの表現力にも役立てたいものだ。