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[ 千葉県支部 ] 2009年11月15日

メイクアップセミナー

 日時:平成21年11月15日 14時〜16時
 場所:バグース
 参加人数:8名
 講師:吉岡美幸様(ヘア&メイクアップアーティスト)

・素顔のメイクモデルに最初からメイクをしていただく
・個人的に一人一人メイクのアドバイスをしていただく
・随時質疑応答

千葉県支部2009年11月15日メイクアップセミナー

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[ コラム ] 2009年11月13日

 白土三平の漫画に登場することで覚えておられる方もいるかもしれない。猿が山の木の実を集めて忘れてしまい、それが自然発酵して生まれる酒のことである。

 この猿酒伝説、中国の南の島々と日本だけにあって、他の地域にはないらしい。中国大陸にも猿酒の話の類はないという。古くからワインがあった所なら似たような話がありそうだが、やっぱりないようだ。もっともヨーロッパには猿が生息していなかったらしいので当然かもしれない。

 猿酒が登場する伝説を挙げてみよう。

 明代の李日華の「紫桃軒又綴」では、『黄山には猿が多く、春夏にたくさんの果実を石の窪みに集め、それが酒になる。香りが数百歩離れた所まで届く。樵(きこり)がこれを見つけ飲んで楽しんだ。たくさん飲んでしまったので猿がこのことに気付き、この樵をなぶり殺しにしてしまった』

 清代の李調元の「広東筆記」では、『海南島には猿が多く、かつては岩石の多い所で猿酒が得られる。味は辣(から)く、これを得ることはきわめて難しい』

「広西偶記」という本では、『平楽には山中に猿が多く、百花を集めて酒を造る。樵が山に入ってその巣穴で酒を見つけることがある。その量は数石にも達する。飲むと香りは美しく、常とは異なっている。これを猿酒という』

 日本の「俚諺集覧」では、『猿酒。猿の甘酒とも奥州南部辺にありと云ふ。猿が木の控へ木の実を入おきて製して人見つけて是をとると云へり』

 西沢文庫「皇都午睡」では、『木曽の猿酒、岐蘇の猿酒は以前信州の俳友より到来して呑たるがこは深山の木の股節穴などの中へ猿秋の木の実を拾ひ取運び置くたる雨露の雫に熟し腐るを山賎見出して持返り麻の袋へ入絞りし物にて黒く濃して味渋みに甘きを兼ていかさま仙薬ともいふべき物也』

 「嬉遊笑覧」という本では、『秋坪新語。忠州山中黒猿酒善醸酒ことを載す。酒といへりみさごすしに対すべし』

 現実的に考えれば、アルコール発酵するよりも腐敗するほうが多いだろうし、あらゆる偶然が重ならないと酒にはならないだろう。しかし、このような古い文献に猿酒が登場するのだから、もしかしたらその偶然があったのかもしれない。そう思うと愉快な気持ちになってくる。



[ コラム ] 2009年11月06日

 前々回にソーマ酒をとりあげたので、類似の酒として今回はハオマ酒の話である。ハオマ酒は作家・松本清張が大きな関心を持っていたことで知られている。

 正確にいえば、ソロアスター教に関心があったようだ。松本清張は、ゾロアスター教が斉明天皇の時代に日本に入ってきたと考えていたようで、『火の路』という作品を残している。ハオマ酒に関しては、NHK特集『清張古代史をゆく』の「ペルセポリスから飛鳥へ」の巻で、次のような旅の体験をしている。

『紀元前1200年もの昔から燃やし続けてきたという聖火の前での拝火の儀式の後、祭司は松本を別室に導いた。ここで、祭司は松本の眼前でハオマの酒をつくり始めた。部屋の広さは20畳ばかり、出入り口のほかは三方白壁に囲まれ、調度品は何ひとつない。祭司は壁際に胡坐をかく。アヴェスターの中の「ヤスナ書」の一部「ガーシ」を唱えながら、二つ並んだどっこの股に石榴(ざくろ)の小枝を挟んでいった。そのあと銅の小鉢に入れ、ある種の小枝を加え、金属棒で上から叩きつぶす。液汁は濾過後に大きな鉢にためる。茶褐色の液汁である。風化して黒くなった銀の盃で飲んだハオマの液体は濁ってどろりとしており、舌の先で味わうと、味はなく、わずかな苦みとかすかに薄荷(はっか)の匂いがした。これがハオマかと祭司にきくと、そうだと答えた。ハオマは何の木からつくるのかときくと、赤い木から採れるという。その植物の名は何かと再度尋ねても、繰り返し“フーム”とのみ答え、通訳にもその意味はわからなかった、』

 はたして酒であったのか。ゾロアスター教の聖典にあるハオマ酒は、「ドウーラオ=死を遠ざけるもの」とされ、健康と活力を付与するとされていたらしい。古代インドのソーマ酒とよく似ていると言われている。エクスタシー症状、あるいは幻覚症状を起す要素があったのは間違いなさそうだ。

 研究書によれば、ハオマの実体は早い時代から不明となって種々の学説があるらしいが、強い幻覚を惹き起すとされる点では一致している。伝説では、不可視の天界にあるアスナワント山のハオマの枝が大天使により鳥の夫婦に授けられ、その枝が臼で挽かれて牛乳と混ぜられてハオマ酒になったという。ゾロアスター教の説く不思議な光景は、このハオマ酒の喫飲によるものといわれているようだ。