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[ コラム ] 4月-24-2009

 18世紀頃の話。イギリス海軍のバーノン提督は、粗製ラムには壊血病予防の効果があると信じていた。そこで従来、水兵にビールを支給していたが、昼食前に半パイント(284ml)のラムを支給することにした。

 水兵たちは喜んで、提督のことを「いいやつ」という意味を込めて「Old Rummy(オールド・ラミー)」と呼んだという。ここからラムという名が生まれたという説もあるそうだ。ちなみに「ラミー」という言葉は、今では「いいやつ」ではなく「酔っ払い」という意味になってしまっている。

 さて、水兵たちの話に戻る。ラムを支給されるようになって午後の作業に支障をきたすものが出てきた。そこで1740年にバーノン提督はラムを4倍の水割りにして、2回に分けて支給することにした。当然、水兵たちは面白くない。新しく支給された酒を、提督がいつも着ているヨレヨレのグログラム(絹とウールの交織による粗い布地)のマントをもじって「グロッグ」と呼んだ。

 この「グロッグ」という呼び名が、いろいろな言葉となって広がっていった。安酒を売る居酒屋「グロッグ・ショップ」、水割りのグロッグでも弱い酒と侮って飲み過ぎればフラフラに酔っぱらうことから生まれた言葉「グロッキー」(ボクシング用語にもなった)。

 三角貿易の悲しい過去、そして笑える愉快な過去、いろいろな歴史の顔を見せてくれる酒、それがラムなのかもしれない。