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[ コラム ] 2009年03月19日

 現在のロシア・ウォッカは多彩である。澄み切ってニュートラルなものから、やや甘くてまろやかなもの、香草で香りづけしたもの、リキュール・タイプのものなど幅が広い。

 輸出代表銘柄としては、ストリチナヤ(「首都の」の意味:アルコール度数40度)、ストロワヤ(「食卓の」の意味:アルコール度数50度)、ルスカヤ(「ロシアの」の意味:アルコール度数35度と40度)、モスコフスカヤ(「モスコーの」の意味:アルコール度数40度)、クレプカヤ(「強い」の意味:アルコール度数56度)などがある。

 無色透明なレギュラー・タイプ以外のウォッカは、フレーバード・ウォッカと総称される。リモナヤ(レモン果皮と糖分を配したもの)、スタルカ(「オールド」の意味:ナシやリンゴの新芽、ブランデーを配し、樽熟成したもの)、ズブロッカ(ズブロッカ草という香りの強い萱草のエキスを配合したもの)などが代表的だ。

 また、ペルツォフカ(赤唐辛子とパプリカを配したもの)というウクライナ共産国産のフレーバード・ウォッカなどが有名である。



[ コラム ] 2009年03月13日

 ウォッカの主原料は穀物で、トウモロコシや大麦、小麦、ライ麦など使われるが、北欧やロシアなど一部の寒冷地ではじゃがいもが使われている。これらの原料を糖化、発酵させ、連続式蒸留機でアルコール分85〜96度のグレーン・スピリッツを作り、水で割ってアルコール分40〜60度に調製した後、白樺の炭層でろ過して製品化されている。現在ではアルコール度数40度のものが主流だ。

 ウォッカの特徴の決め手は二つに集約される。ひとつは、ベースになるスピリッツをどのようにしてつくるか。ふたつめは白樺炭ろ過をどのように行うか。

 ベースになるスピリッツは、85〜96度という高いアルコール純度のため、原料による違いは製品の品質にあまり大きな影響を与えないという見方もある。そのため、アメリカでは穀物でない原料の使用も多い。

 白樺炭ろ過は、スピリッツの刺激成分を除去して軽やかな芳香を生成する作用である。また、炭からの味わい成分(アルカリイオン)が溶け出し、アルコールと水との結合を促進してまろやかさを加えるという役割も果たしているそうだ。

 前述のアメリカでは穀物以外でも、とにかくニュートラル・スピリッツ(90度以上で蒸留したスピリッツ)に活性炭処理などをして、性格、香り、味、色をなくしたものもウォッカとして扱われている。ちなみにEUでは「農産物から得たエチル・アルコールを活性炭ろ過して、官能刺激特性(organoleptic characteristics)を取り除いたもの」という規制がある。



[ コラム ] 2009年03月06日

 ウォッカは、主に穀物を原料として、糖化、発酵、蒸留という過程を経て、白樺の炭でろ過し、クセのない味わいに仕上げた酒である。トウモロコシやじゃがいもを原料にしたものが多いが、どうやら誕生した当時の原料は違っていたようだ。

 12世紀前後の誕生とされるウォッカだが、東欧の地に新大陸原産のトウモロコシやじゃがいもは、当時なかったようだ。ライ麦のビールか、蜂蜜を水で溶かして酵母で発酵させた醸造酒であるハチミツの「ミード(Mead)」を蒸留したと推測されている。

 17〜18世紀ごろのウォッカは主にライ麦でつくられ、18世紀後半あたりからトウモロコシやじゃがいもも使われるようになったようだ。

 ウォッカは他の蒸留酒に比べるとニュートラルなクセのない味とされているが、その当時はそうでもなかった。現在のようなウォッカになったのは、1810年にセントペテルスブルグの薬剤師アンドレイ・アルバーノフが炭の吸着などの活性作用を発見し、ピョートル・スミルノフがウォッカの製造にこの炭を利用してからのことである。これ以来、ウォッカは活性炭ろ過による「クセの少ない酒」という個性を確立した。

 そして19世紀後半には連続式蒸留機が導入されて、今日のようなよりニュートラルですっきりした酒質となった。ウォッカはけっして無味無臭というスピリッツではないという。風味、香り、色合いと、どれを取っても最もほど良いアルコール飲料の1つだと考えられている。