とp PBO:NPO法人 プロフェッショナル・バーテンダーズ機構
SCC2025 SUNTRY ザ・バーテンダーアワード WRLD CLASS 2024
[ コラム ] 2009年02月13日

 名前の由来は、その販売方法にある。18世紀にロンドンで販売機を置く際に、一風変わった猫の姿の販売機を置いた。猫の口にコインを入れると足から甘口のジンが出てくる仕掛けであり、これが大ヒットとなった。

 このジンは、基本的な製法はドライ・ジンとまったく同じで、砂糖を2%程度加えて甘口に仕上げたジンである。当時はまだ雑味が多く、飲みやすくするために砂糖で甘味づけが行われていた。甘口のジンと猫の姿をした販売機。オス猫をトム・キャットと呼ぶことから、この甘口のジンをオールド・トム・ジンと呼ぶようになった。

 今では辛口のジンが主流であるため、オールド・トム・ジンの重要は少なくなっている。オールド・トム・ジンを使うカクテルレシピでも、ドライ・ジンに少量の砂糖かシロップを加えても味の点ではほとんど差がないといわれる。

 なかなかお目にかかりにくいジンであるが、猫の姿をした販売機の話など、ジンを傾けながら語るには今でも魅力的な酒といえるのではないだろうか。



[ コラム ] 2009年02月06日

 その他のジンの話である。シュタインヘーガーはドイツの蒸留酒で、ジンの一種と位置付けられている。名前の由来は、誕生の地であるドイツ西部ヴェストファーレン(Westfalen)州のシュタインハーゲン(Steinhagen)という村名であるが、今はその他の州でも生産されている。

 この製法は、まず生のジュニパー・ベリー(約20%程度の糖質を含む)を発酵させて単式蒸留機でスピリッツをつくる。同時にトウモロコシ、大麦麦芽でグレーン・スピリッツをつくる。この二つのスピリッツをブレンドしてさらに再蒸留したものが、シュタインヘーガーである。

 ジュニパー・ベリーを最初から発酵させて使うので、おだやかな香味を持ち、オランダ・ジンとロンドン・ドライ・ジンの中間的な風合いを持っている。

 冷凍庫で強く冷やしてビールとともに飲まれることが多いようだ。

注)ドイツ語およびフランス語特有の文字は一部省略して表記しています。



[ コラム ] 2009年01月30日

 オランダのジンは昔ながらにポット・スチルで蒸留するものと考えられているが、ドライ・ジン・タイプの生産も増えてきている。

 イェネーファ(Geneva)、またはイェネーフェル(Genever)は、オランダ以外の国ではジュネヴァと呼ばれている。主な原料である大麦麦芽、トウモロコシ、ライ麦を混合して使用する。ドライ・ジンよりも大麦麦芽を多く使うため、麦芽香が残るのがジュネヴァの特徴である。

 原料穀物を糖化、発酵させ、単式蒸留機で2回ないし3回蒸留を行う。この蒸留液にジュニパー・ベリーやその他の草根木皮類を加えて、さらに単式蒸留機で蒸留が行われる。香味にコクがあり、麦芽の香りが残る少し重い酒質は、こうした製造方法によるものである。カクテルのベースとしてより主にストレートで飲まれ、ボトルごと冷やして飲む人が多い所以である。

 ジュネヴァ以外に、ダッチ・ジュネヴァ(Dutch Geneva)、ホランズ(Hollands)、スキーダム(Schiedam)などとも呼ばれている。