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SCC2025 SUNTRY ザ・バーテンダーアワード WRLD CLASS 2024
[ コラム ] 2008年08月15日

 以前、「グラスの中身」というコラムで、グラスの材質をもとに異なるタイプを紹介した。今回はカタチである。数回かに分けて紹介していこうと思う。初回は、脚付き型グラスと平底型グラスの話。ふと会話が途絶えた時、使える話である。

 正式な決まりがあるわけではないが、脚付き型グラスはフォーマル派、平底型グラスはカジュアル派と言われている。その理由をご存じだろうか。西洋の酒器の発達史と関係があるが、古代の人達が今の我々と同じグラスで飲んでいたわけではない。

 考古学的な発掘品からは、当時の人々が家畜の角を酒器として利用していたと推測されるそうだ。だから、その後に登場する青銅や粘土で作られた酒器も、似たカタチが多い。口が狭く、背が高いデザインである。このカタチ、そのままでは倒れてしまうので、脚は必須だ。当然、作るのに手間もかかるので高級品である。そこで主に神前用や高貴な人の専用酒器となったようだ。

 さて、脚をつけるのが大変だとすると、簡単なのは下部をちょんぎって底をつける方法だ。手間もかからず、量産がきく平底型である。当然、大衆用となった。

 このような酒器の歴史が現代に受け継がれ、格調あるフォーマルな場では脚付き型グラスが用いられるようになり、気取らず楽しむ場では平底型グラスが使用されるようになっている。もちろん、その大きさはアルコール度数の強弱や味の濃淡に合わせて大小様々だ。

 とはいえ、こうしたグラスの使用区分もあまり意識されなくなってきた。しかし一方では、バーテンダーのセンスでグラスが選択され、アイデアに満ちた使い方が生まれている。それはそれで酒器文化の発展にとって素晴らしいことである。



[ PBO 本部直轄エリア ] 2008年08月10日

芸術鑑賞会〜歌舞伎

 開催日 2008年8月10日(日)14:00〜
 会 場 歌舞伎座

1603年から続いている世界に誇る日本の伝統芸能「歌舞伎」。8月は歌舞伎座恒例の納涼歌舞伎です。400年にわたり培われてきた伝統の技と、日本人の大切にしてきた「心」を学ぶセミナーでした。

芸術鑑賞会〜歌舞伎

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[ コラム ] 2008年07月29日

 欧米に行くとワインの水割りを飲む人を見かける。そんな習慣がない日本人には驚く人もいるが、そんなに珍しい光景ではない。オーストリアやドイツでは“G’SPRITZTER(グシュプリッツァーorゲシュプリッツァー)”(ドライなワイン=グリューナーヴェルトリーナやウェルシュルースリング等をガス入りのミネラルウォーターやソーダ水で1:1で割ったもの。ドイツではショルレと呼ばれる)というアルコール系飲料があるし、お店で子供に飲ませている人もいる。
 この「ワインの水割り」、実は歴史的にも古い飲み方だ。しかも、カクテル=酒+Somethingと考えるなら、カクテルのルーツをたどる話にもなってくる。

 古代ローマ帝国では、ワインの水割りが市民の常用的な飲み方だったという。クセジュ文庫の「味の美学(Robert J.Courtine著、黒木義典訳/白水社刊)」によると、ワインに混ぜものをして飲んでいたことが書いてある。「この混合はブドウ酒に対して悪い影響しか与えなかった。一番いいブドウ酒は非常にアルコール分が強く、また濃かったので、つぼから盃に移すとき、その沈殿物を漉してその場で水割りにしなければならなかった。もっともよく飲む人たちでも水で割っていた。そして割ってないブドウ酒をこっそり飲むのは異常者か欠陥人間だけで、その人たちは現在のエーテル常用者のように非難されていた…」
 当時のローマ人にとって「ワインの水割り」が常識的な飲み方で、他にも石膏、粘土、石灰、大理石の粉、海水、松脂、樹脂などを加えて飲んでいたらしい?!

 一方、古代エジプトでは、ビールにハチミツや生姜を加えて飲んでいたという。チズム(Zythum)、カルミ(Calmi)、コルマ(Korma)などと呼ばれていたらしい。さらに紀元640年頃、唐の時代になるとワインに馬乳を加えた乳酸飲料が飲まれていたと伝えられている。

 こうしたワインやビールに何かを加えて飲みスタイルは、カクテルの原始的な姿と考えられなくもない。その当時の人たちに今のカクテルを飲ませてみたいものだ。あまりの美味しさに輝くような笑顔になることは間違いあるまい。