とp PBO:NPO法人 プロフェッショナル・バーテンダーズ機構
SCC2025 SUNTRY ザ・バーテンダーアワード WRLD CLASS 2024
[ コラム ] 2008年07月23日

 誰もが知っているアメリカの禁酒法時代(1920年〜1933年)。実はこの法はザル法として有名である。禁止していたのは「酒類製造・販売・運搬等」であって、「所有」は禁止していないのである。反禁酒派の議員から猛反対で次のような妥協の条項が盛り込まれていた。

『しかし、家屋が自らの住居としてのみ私的に占有・使用されている場合、その家屋の中で酒類を所有することは違法行為ではない。また、もしそのような酒類が、当該家屋に居住する所有者やその家族、さらには当該家屋において歓待される偽りなき来客のため、私的飲用にのみ使用されるのであれば、その所有について当局に届出る必要はない。(第33項)』

 お金持ち達は法の施行の前にたっぷりとお酒を買い溜めしていたという。そして当然のように盛んになったのがホーム・バーである。本棚そっくりのカクテル・ツール(ホーム・バー)がつくられ、アール・デコ・スタイルのバー・ツール(アイス・ペール、シェーカー、ソーダ・サイフォン、スィッズル・スティックなど)やグラス・コレクションを揃えた楽しい時代。禁酒法がなければ生まれなかったのである。

 一方、正規の酒屋にとっては当たり前のことだがダメージが大きかった。禁酒法に嫌気をさした良心的なバーテンダーたちはヨーロッパに渡り、アメリカン・スタイルの飲酒文化を広めていった。
 ロンドンにナイト・クラブがオープンし、若者たちは夜遅くまでジャズや酒を楽しみ、1889年にオープンしたサボイ・ホテルでもアメリカン・バーが導入され、昼間からカクテルを楽しむことができるようになった。ヨーロッパでのカクテル・ブームに拍車をかけたのも禁酒法だったのである。
 ちなみにカクテル・ブックのバイブルといわれる「サボイ・カクテル・ブック」(1930年)を出版したハリー・クラドックがいたのもこの時代。まさに禁酒法がカクテル文化を盛んにしたといえるだろう。



[ コンペティション ] 2008年07月13日

カクテルコンペティション2008ポスター

P.B.O.全国カクテルコンペティション2008
第一部 カクテルコンペティション 14:00〜
第二部 表彰式&懇親会 17:30〜(予定)

■開催日   2008年7月13日(日)14:00〜19:30

■会 場   東京 中央区「コートヤードマリオット銀座東武ホテル」宴会場
         東京都中央区銀座6-14-10
         TEL:03-3546-0111

■主 催   NPO法人プロフェッショナル・バーテンダーズ機構(PBO)

■協 賛   P.B.Oサポートメンバー各社(五十音順) 
         アサヒビール株式会社
         ヴーヴ・クリコ・ジャパン株式会社
         MHDディアジオ モエ ヘネシー株式会社
         キリンビール株式会社
         株式会社佐弘商事
         サントリー株式会社
         ディアジオ・ジャパン株式会社
         株式会社ナランハ
         バカルディ ジャパン(株)
         ペルノ・リカール・ジャパン株式会社
         株式会社明治屋



入賞者
M.V.B(モスト・ヴァリアブル・バーテンダー)
     エントリーNo.8  
     ASIAN Destiny(アジアン ディスティニー) 新谷 彰教 (福岡 バー・パルムドール)

     オリエンス・アジアンリキュール 李 3/6 
     ルジェ・クレーム・ド・アプリコット 2/6
     オリジナル ピーチツリー 1/6
     フレッシュライムジュース 1tsp
     シェイク
     カクテルグラス
     オレンジピール
     リンゴピール
     創作コメント
     日韓W杯、環境問題、そして北京五輪。
     近年私達は国境を越えて、共に歩もうとしています。アジアで生まれた助け合いの心を、
     アジア原産のフルーツを使い表現しました。

第2位
     エントリーNo.7
     Heartful Days(ハートフル デイズ) 大沢 智枝 (東京 バー・アドニス)

     プリマス41.2 4/12
     ルジェ・クレーム・ド・カシス・ド・ディジョン 3/12
     ルジェ・クレーム・ド・アプリコット 3/12
     フレッシュレモンジュース 2/12
     シェイク
     カクテルグラス
     りんごの皮を飾る
     創作コメント
     たくさんの愛と、たくさんの試練に包まれながら過ぎ行く日々、
     感謝の心を込めて…。

金 賞(3名)
     エントリーNo.9  Misty Rain(ミスティーレイン) 鈴木 和行 (東京 永楽倶楽部)
     エントリーNo.19 夢桜(ユメ ザクラ)         森山 照彦 (福岡 バー・パルムドール)
     エントリーNo.23 La Habana(ラ・アバナ)     杉山 ちひろ (愛知 MERCADO)

銀 賞(5名)
     エントリーNo.1  Fairy tale(フェアリーテール)  田村 誠 (神奈川 バー・グローリー桜木町)
     エントリーNo.11 Splendeur(スプランデュール)  木山 賢治 (熊本 ラトゥール)
     エントリーNo.14 Bises(ビス)             野末 竜海 (熊本 Bar rest fine)
     エントリーNo.22 Aromavert(アロマヴェール)   村上 学 (北海道 バー・HATTA)
     エントリーNo.24 funny honey(ファニー・ハニー) 高野 亮 (東京 バー・ジェムストーン)

特別作品賞(1名)
     該当作品なし

NPO法人プロフェッショナル・バーテンダーズ機構(PBO)


[ コラム ] 2008年07月09日

 もちろん、1630年頃にインド人によって発明されたというパンチ(Punch)の話である。17世紀後半にインド在住の東インド株式会社のイギリス人たちの間に根をおろし、イギリス本国に紹介されて家庭にも溶け込むようになったという話は有名である。
 インド人の蒸留酒であるアラックをベースに、砂糖、ライム、スパイス、水の5つの材料を大きな器でミックスし、注ぎ分けて飲む飲みものだった。この「5つ」を意味するヒンドスタニー語(近代インド語)がパンジ(Panji)で、それが英語のパンチになったと言われている。
 このパンチにまつわる話で、もっとパンチの効いた話があるのをご存じだろうか。
 1694年11月26日、スペイン南部、バレンシアに近いアリカンテ村の自分の家に将校たちを招いた人物。のちに元帥になったイギリス海軍地中海艦隊のエドワード・ラッセル司令官は、庭に大きな穴を掘った。そしてなんとラム250ガロン、マラガ・ワイン225ガロン、ライム・ジュース20ガロン、レモン2500個分のジュース、砂糖1300ポンド、ナツメグ5ポンド、水500ガロンを使ってパンチを作ったというのだ。
 ガロン! しかも1000ガロン! 例えは悪いが、欧米の家の裏庭にある直径3メートルぐらいのプールの容量に近い。なんとも豪気なものである。のちにノックアウト・パンチ(Knockout Punch)と呼ばれるようになった話であるが、面白いというか愉快なエピソードである。

※ミニ知識:ガロン(gallon, 記号: gal)
ヤード・ポンド法の容積の単位。国や用途によって定義が異なるが、大体3.5〜4.5リットルの範囲内。

1ガロンは4クォート (quart) 。
8ガロンを1ブッシェル (bushel)。
36(英)または42(米)ガロンを1バレル (barrel) という。

現在用いられている種類。
1)英ガロン (Imperial gallon) – 1パイントを20液量オンスとしたときの8パイント。
  正確に4.546 09リットル(231立方インチ)に等しい。
2)米国液量ガロン (U.S. fluid gallon) – 1パイントを16液量オンスとしたときの8パイント。
  正確に3.785 411 784リットルに等しい。
3)米国乾量ガロン (U.S. dry gallon) – 正確に4.404 842 803 2リットル(268.8025立方インチ)に等しい。