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[ コラム ] 2010年02月26日

 今回がチョコレート用語に関するネタの最後になる。品種や製造にまつわる言葉をまとめてみた。

●クリオロ種
 栽培されているカカオの3つの種類の中で一番高品質で風味豊かだが、病気に弱く産出量は一番少ない。一時期絶滅したといわれた。

●トリニタリオ種
 栽培されているカカオの3つの種類のひとつで、クリオロ種とファラステロ種の交配種。強健で豊かな風味を持ち、比較的安定した収穫量が期待できる。

●ファラステロ種
 栽培されているカカオの3つの種類の中で最も使用されている品種。世界で製造されているチョコレートの約85%を占めているといわれている。風味の点では一番劣るが病気に強い。アフリカ大陸ではマダガスカルを除いて主要な栽培種である。

●ボルチェラーナ種
 ベネズエラの特定地域のみで栽培されているカカオ豆。90%以上がクリオロ種の遺伝子で作られている。

●発酵
 カカオ豆がパルプや粘液につつまれている状態で、木の箱に入れられ、5〜7日間周期で攪拌される。この作業はコンチングの際のアロマに大きく影響する。

●カカオ豆の乾燥
 発酵させ、液体を抜き取ったカカオ豆は、太陽の光や熱風などで乾燥させる。この時点でカカオに含まれる水分を6〜8%減らすことができる。船積みなどの際にカビの発生を防ぐ目的がある。

●コンチング
 チョコレートの製造過程のひとつ。60〜75度の間で3日ほど機械で練り混ぜる。この作業で酸味が減り、香りが立ってくる。

●メランジュール
 カカオ豆を磨砕する古いタイプの機械。

●テンパリング
 チョコレートの製造過程で、加熱と冷却を丁寧に行う作業。カカオバターの6つの結晶形のうち最も安定した形状である5つ目の結晶を安定化させるために行う。テンパリングによって、つややかで歯切れの良いチョコレートができるが、テンパリングをしないと粒子が粗く、色が鈍く筋張ったチョコレートになる。

●レチシン
 大豆から取れる乳化剤で、チョコレートの質感を出すために加えられる。

●ブルーム
 チョコレートの表面が白っぽくなる現象。過剰な湿度により表面に砂糖が浮き上がってきたり、急激な温度変化によってチョコレートの結晶が変化してカカオバターに影響を及ぼして現れる。テキスチャーや風味にダメージを与えるが、味への影響は少ない。

●クーベルチュール
 チョコレート原料。1〜25kgの大きな塊、もしくは液体の状態で運ばれる。多くのショコラティエはカカオ豆ではなく、クーベルチュールをまとめ買いしてチョコレートを作る。

●バニリン
 安価な合成バニラ



[ コラム ] 2010年02月19日

 チョコレートへの関心がバレンタインデーだけでは、実にもったいない、まだ初歩の部分だが、先週に引き続いてチョコレート用語の解説である。

●ショコラティエ
 フランス語でチョコレート職人のこと。カカオ豆からチョコレートを作る職人と、チョコレートを溶かして形づくる職人がいる。多くのショコラティエは後者に属する。

●シングル・エステート
 特定の地域で生産されたカカオ豆のみで作られたチョコレートを示す。

●シングル・オリジン
 特定の国で生産されたカカオ豆のみで作られたチョコレートであることを示す。

●プランテーションバー(農園指定チョコレート)
 高品質で有名なカカオ豆が収穫される限られた農園から作られるチョコレートバーのこと。1994年にボナ社が『ハシエンダ・エル・ロザリオ』という商品を売り出したことから始まった。製造年で香りは異なり、年によって収穫量も変わる。

●ガナッシュ
 チョコレートとクリームを混ぜたもの。トリュフには必ず含まれている。

●ダークチョコレート
 ミルクパウダーを含まないチョコレートで、EUではカカオ含有率が35%以上という基準になっている。

●ホワイトチョコレート
 カカオ豆から作られていないため、厳密にはチョコレートとは呼べない。主要な成分はカカオバター(他の油脂も加えられている場合もある)とミルクパウダーと砂糖。味としてはミルクパウダーとバニラ(もしくはバニリン)が強く感じられ、それらの品質によって味が左右される。

●ミルクチョコレート
 ミルクパウダーまたは濃縮ミルクが加えられたチョコレート。EUではカカオ含有率25%以上であることが基準になっている。ミルクパウダーを多く含み、ダークチョコレートよりも砂糖が多く入っている場合が多い。

●プラリネ
 フランス語で焙煎したアーモンドやヘーゼルナッツとキャラメルを一緒に挽き合わせたペースト状のフィリング、または、それを使用して作られたチョコレートのこと。ベルギーではフィリングの入ったチョコレートの呼称になっている。

●バロタン
 チョコレートのギフト用の箱で1912年にベルギーのショコラティエ、ノイハウスの妻が作り始めた。



[ コラム ] 2010年02月12日

 シングルモルト&ショコラのマリアージュが話題になって久しい。しかし、分かっているようで意外と知られていないチョコレートの世界。今回から、その世界を詳しく覗いていきたい。

 第一回は、チョコレートの世界でよく使われる言葉についての解説。

●AOC(Appellation d’Origine Controlee)
 フランス語で「管理された原産地の保障」という意味。ワインで有名なのでご存知の方も多いはず。ワインに使われているブドウの産地と品質を保証することを目的に導入されたシステム。今やチョコレートの世界にも導入されている。

●カカオ含有率
 チョコレートに含まれるカカオ由来の原料すべての含有率を示す。具体的にはカカオバターと粉砕されたカカオ豆である。誤解されやすいが、カカオ含有率の高いものほどチョコレートの味が強いわけではない。同じ含有率でも、カカオバターの割合が多い場合は香りが弱く油脂分を感じる。それは、カカオバターには味がないためである。

●カカオのさや
 カカオの樹になり、中に約50粒のカカオ豆を含んでいる。

●カカオニブ
 カカオ豆が皮をむかれ、砕かれて小さな粒状になった状態のもの。

●皮むき
 カカオニブにするため、カカオ豆の殻を取り除く機械が使用される。

●カカオマス(別名:カカオリカー)
 カカオニブから作られる。40度ほどの状態でピーナッツバターのようなペースト状になり、この過程でようやくチョコレートの香りが感じられるようになる。

●カカオバター
 カカオマスに圧力をかけることによって抽出される。カカオ豆の総重量の50〜55%を占めている。37度以下の状態ではレモン色をしている。多くのショコラティエがチョコレートに粘度となめらかさを与えるためにカカオバターを使う。品質の劣るチョコレートには高価なカカオバターの代わりに植物油脂を部分的に使用している。

●カカオケーキ
 カカオマスに圧力をかけ、カカオバターを抽出した後の固形物。

●カカオパウダー
 カカオケーキを粉砕した粉。