とp PBO:NPO法人 プロフェッショナル・バーテンダーズ機構
SCC2025 SUNTRY ザ・バーテンダーアワード WRLD CLASS 2024
[ コラム ] 2010年02月05日

 照葉樹林文化圏というくくりがあるらしい。中国南部を含め東南アジアから日本にかけての広範な森林地帯を示し、この圏内では独特な農耕文化とともに酒の文化も伝承されている。

 その黴(カビ)酒を粒酒として名付けている人達もいる。粒酒は、壷酒ともいえる。特徴は、固体発酵であること、ストロー(吸酒管と呼ぶ人もいる)を使って飲むところにある。大陸部の照葉樹林地帯には多くの種族が古くから住みつき、それぞれの粒酒を持っていたという。

 代表的な粒酒としてはチベットのチャンがある。シコクビエの玄殻を水に漬けて熱湯で茹で、竹の筵(むしろ)の上に広げて放冷後、麹(こうじ)の粉を振りかけよく混ぜる。これを竹籠に入れ数日間置いた後に壷に移し、数日間発酵させると完成する。飲み方は、竹筒などの容器に移して熱湯を注ぎ、竹の管を差し込んで飲む。管の先端はスリット状になっているという。

 カクテルにつくストローのイメージとはまったく異なるが、ストローを使って酒を飲む行為は意外と古いようだ。

 紀元前2600年頃のメソポタニア・ウル王墓からの出土品にあるストローでビールを飲むシュメール人、紀元前1913年頃の出土品でパイプでビールを飲むバビロニア人などが知られている。

 ストローで飲む風習はアフリカに伝播して、中国は日本ではほとんど見られないという。それでも中国の少数民族である羌(きょう)族では、客を迎える時に飲むザージウで壷に竹の管を差し込んで複数で吸酒する飲酒法があったようだ。

 さて、いろいろな珍酒を取り上げてきたが、これで一区切りとさせていただきたい。次回からは、趣向を変えてチョコレートに関する話題を取り上げていく予定である。乞うご期待!



[ イベント ] 2010年02月03日
カクテルフェスティバル2010


<P.B.O.カクテルフェスティバル2010>
第1部 カクテルコンペティション
 第2部 フェスティバルパーティー

PBOカクテルフェスティバル2010の開催が決定いたしました。会場は東京・飯田橋のホテル メトロポリタン エドモントです。第1部は若手バーテンダーの登竜門的存在のカクテルコンペティションを開催し、第2部のフェスティバルパーティーでは料理を楽しみながらスタンダードカクテルの提供や、サポートメンバー各社の取扱商品の試飲ブース、フレアバーテンディングやベリーダンス・ショーなどを予定しております。メンバーのみならず、カクテルにご興味のある愛好家の皆様の来場をお待ちいたしております。カクテルコンペティションエントリー資格はPBOメンバーのみとなっております。詳細は決定次第随時更新いたします。ご期待下さい。

日 時     2010年3月7日(日曜日) 13時30分〜19時
主 催     NPO法人プロフェッショナル・バーテンダーズ機構(P.B.O.)
協 力     社団法人泡盛マイスター協会
          NPO法人カクテルコミュニケーションソサエティー
          スコッチ文化研究所
          全日本フレア・バーテンダーズ協会
          P.B.O.サポートメンバー各社
会 場     ホテル メトロポリタン エドモント
          東京都千代田区飯田橋3-10-8
コンペティションエントリー資格  P.B.O.メンバーのみ
チケット    ビジター当日券          ¥12,000-(第1部・第2部共通)
          ビジター前売り/ご予約券     ¥9,000-(第1部・第2部共通)
          P.B.O.メンバー          ¥8,000-(第1部・第2部共通)
          コンペティション観戦のみ    ¥2,000-(予約不要・当日精算)

問い合わせ
          PBOカクテルフェスティバル実行委員会(洋酒博物館内 03-3571-8600 北村)

P.B.O.カクテルフェスティバル2010では、お酒の提供がございます。
未成年の飲酒及びお車での来場は固くご遠慮申し上げます。

※開催情報は今後も随時更新いたします。

※PDFデータを閲覧するためには、アドビリーダーが必要です。
 アドビリーダーが必要な方は、アイコンをクリックしてダウンロードしてください。


NPO法人プロフェッショナル・バーテンダーズ機構(PBO)


[ コラム ] 2010年01月29日

 山羊、羊、ラクダ、牛、そして馬の乳を利用する乳酒。多くの酒が農産物を原料にしているのに対して、乳酒は唯一、動物源の酒である。

 動物の家畜化によって生まれた乳製品。人間と動物の乳との関わり合いは1万年前に遡るらしい。乳酒もバターやチーズと同じく、古代からの文化を伝える大切な逸品と言えよう。

 乳酒に関する最古の記録はヘロドトスのものだという。それによると、乳酒はスキタイ人のもので、それは発酵した牛乳から造る酸性ビールに似た飲み物であるという。スキタイはイラン系民族で紀元前8世紀頃に轡(くつわ)を発明し、やがて馬上弓射法を会得して、史上最初の完全な騎馬民族となった。このスキタイ文化を取り入れたのが匈奴だと言われている。

 乳酒は、スキタイをはじめとする西アジアから東アジアの広大な草原やステップ地域の遊牧民族に受け継がれてきた伝播の酒といえる。史的に伝えられる民族は、キンメリア、スキタイ、サルマート、匈奴、東胡、月氏、鮮卑、丁零、高車、柔然、フタル、突厥、ウイグル、モンゴルなどがある。

 山羊乳酒は、ロシアやブルガリアではケフィール、モンゴルではエラーゲと呼ばれ、馬乳酒は、中央アジアではクミーズ、ケミズなど、突厥語ではコスモス、その他ではカモスと呼ばれる。モンゴルでは2300年前から乳酒が作られているという。単にアイラグといえば馬乳酒を指すが、動物の違いで呼び方が変わるようだ。馬乳酒はグーニー・アイラグ、ラクダ酒はインゲニ・アイラグ、牛乳酒はウオーニー・アイラグという。

 マルコ・ポーロは『東方見聞録』で「馬乳を皮袋にいれ、その袋をながい間、棍棒をもって打ったり、攪拌したりして、中の乳を振とうすることによって造られる酸味を帯びた酒が乳酒」と述べている。チーズをつくる過程の中で生まれる液体部分を発酵させて乳酒にするようだ。

 乳酒は、アルコールの低いことからも、乾燥地帯での水分補強の飲料であり、乳の保存法のひとつという考え方も見受けられる。乳酒のアルコール度は原料の乳糖含有量に左右されるが、山羊と羊<牛<ラクダ<馬となり、馬乳が最も高いようだ。